薬草百選一覧
49.ジャノヒゲ
50.ナンテン
51.ヤブコウジ
52.ハ コ ベ
53.フクジュソウ

薬 草 百 選(正月篇)
(49)
ジャノヒゲ(リュノヒゲ) ユリ科
冬期の青い実が印象的。
佐賀県の子供はお爺さんのメンコンタン(目の玉)と呼ぶ。
リュウノヒゲは龍の髭。干支にちなむ植物名の一つ。


今年は龍(辰)年。別名は細長い葉を龍の髭に見立てたもの。

日本、朝鮮半島、中国の林内に生えるが、日本の身近なところでは、
庭の根占め、グランドカバーや畑の土止めなどで見られる。

ジャノヒゲの青い実は、マンリョウの赤い実、シロナンテンの白い実
とともに鳥わなの餌にする。

薬用には、根の一部が球状に肥大した部分を5月頃採集、乾燥して、
鎮咳、強壮、炎症抑えなどに用いる。

漢方では、麦門冬湯、清肺湯、温経湯ほかに配合されている。


佐賀の方言はオジイサンノメンコンタン、ジイチャンノメンコンタン、
ネコノメンコンタン、ジューノヒゲ、ジューノミ、ジュンジュンタマ



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(50)
ナンテン(メギ科)
赤実をつけた木は、正月の生け花には
なくてはならない花木


インド、中国、日本の暖地に分布する。身近には、庭園木、生け垣、
正月の生け花木として知られる。

ナンテンは難転に掛けて、鬼門に植えて難を転じ、また、祝事の折り、
難転と葉の殺菌効果の実利を配慮した、祝い鯛の下に敷く事、赤飯に葉
を添える事などに使われる。
さらに、幹で作った箸は長寿箸とされる。

薬用には、果実(南天実)を12月頃に採取し、鎮咳薬に用いる。

中国では、実のほか葉、茎、根も薬用とする。
含有成分には、最近の生育阻止作用が確認されている。
長寿箸を作る茎には、殺菌作用などがあるベルべリンが含まれている。




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(51)
ヤブコウジ(ヤブコウジ科)
赤い実をつけたものは正月の床飾り


日本、朝鮮半島、中国、台湾の山地の樹下に分布する。

古くから多くの園芸変種が作られて、盆栽として珍重され、
特に、寛政年間に最も流行した。

名前は、赤い実を山のミカンに見立てたもので、ヤマミカン→
ヤマタチバナ→ヤブコウジとなった。

薬用には、11月頃に採集し、乾燥した根(紫金牛)を利尿、
咳止め、解毒に用いる。

可愛い果実をつけるところから、佐賀県では、ヤマリンゴ、
ヤママンジュウ、ヤママンリョウなどと呼ばれる。


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(52)
ハコベ(ナデシコ科)
七日正月の七草の一つ。ハコベ塩でも知られる


世界各地に分布。日本では路傍や畑地に普通に見られる。
一年中見られ、緑の少ない冬にも青々としているとこから、
めで たい草とされ、大事な食料であった。

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ホトケノザ、スズナ、スズシロと共に
春の七草に数えられる。
花は春に咲くと思っている人が多いが、ハコベの花は
意外にも初冬から 正月、春、初夏と長い間咲いている。

ハコベは古名をハコベラといい、果実が開いた形を箱に見立てたもの
である。ハコベラを略してハコベとなった。べは実の転訛したもの。

【薬用】全草を必要時に採取する。催乳、浄血に使う。
民間では、歯ぐき の出血や歯槽膿漏の予防にハコベの
青汁と食塩で作るハコベ塩で歯を磨 く。

佐賀の方言:ヒヨコグサ


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(53)
フクジュソウ(キンポウゲ科)
元日草とも言った。正月の祝儀の花。めでたいときに飾られる


シベリア東部、サハリン、朝鮮半島、中国北部、日本では、
北海道から九州に分布。九州では極まれ、佐賀県には野生は
ないが、盆栽などで愛玩される。

江戸時代には、元旦に花があるので、元日草と呼んだ。
開花期が長いことから、長寿にちなんで人気の野草。
江戸時代から正月の祝儀の花としてめでたいときに
使われた。
名前の由来:黄金の花から黄金(オウゴン)を連想され、
幸福につながる花というところから、長寿と幸福を組み合わせ
て、福寿草の名が付いたといわれる。

薬用:薬用植物の中に入れられているが、心臓毒の有毒植物
であるので用いないようにしてください。


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