薬草百選リスト |
96.ユキノシタ 97.クチナシ 98.ハマスゲ 99.チガヤ 100.メ ギ |
(96) ユキノシタ(ユキノシタ 科) 山菜としても人気 |
ユキノシタとは、花びらを雪に見立てたもの、 また、冬、寒さに耐えて、雪の下でも生育する ことに由来する名前である。 日本、中国に分布し、佐賀県内では 西部低山地の陰湿な岩場に自生するが、 一般には、庭園に植栽 されたものを見ることが多い。 生の葉は、山菜として、てんぷらや、ゆでて煮付け、 浸し物、ゴマ和え、酢味噌和えなどにする。 薬用には、葉を5〜7月に採集し、乾燥したものを 解熱、鎮咳、解毒に用いる。 民間では、耳から膿汁が出るのに、生葉汁で耳内を 拭く。その効果には、有効、無効の両論がある。 佐賀の方言:キジンソウ、キリンソウ、オコタチ、 チチハレ、チドメ、チリンソー、チンコロバナ、ビジンソウ |
(97) クチナシ(アカネ科) 無害な天然色素としても知られる 実の形は囲碁,将棋盤脚に型取られる |
関東以西の日本、中国、インドシナなどの暖地に分布する。 花が美しく、香りがよいため、飛鳥、天平時代の 古くから鑑賞用として栽培されていた。 近年、花が八重咲きで大きいオオヤエクチナシが多くみ られるようになっている。このクチナシは香りはよいが 実がならないので、薬用には使用されない。 中国のクチナシがアメリカへ渡り、品種改良 されて日本へ渡来した園芸品。 クチナシの名は、果実が熟しても 口を開けないことに由来する。 果実には、黄色の色素クロシンを含み、栗キントンの 黄色染めに、熟した実を切って煮出した黄色汁を用いる。 また、果実の形は碁、将棋盤の足に形取られており、 勝負がもめても口無し!と 薬用は晩秋、果実を採取、炎症どめ、解熱に煎じて 用いる。漢方では温清飲、清肺湯ほかに配合される。 |
(98) ハマスゲ(カヤツリグサ科) 雑草でも重要な薬草 |
海岸付近の砂地に多いことから、ハマスゲの名がある。 海岸近くに限らず、内陸地にも普通に見られ、 路傍や駐車場のアスファルトを押し上げて生えるほどの 生育力が強い雑草の重要な薬草。 重要薬用植物を収載した日本薬局方に記載されている。 根には紡錘状に肥大した部分がある。この肥大根茎を晩 秋頃に採取して、月経不順、催乳など婦人薬に用いる。 漢方では、女神湯、香蘇散、五積散などに配合される。 佐賀の方言:カヤカヤ、コーブシ、コーブツ、 コーボシ、ヒーナサンノイモ |
(99) チガヤ (イネ科) 身近な重要薬草 子供が食べる薬草 |
アジア、アフリカの路傍や原野に普通に見られる薬草。 北アメリカの路傍などに見られるものは、 上記地域から帰化したものいわれる。 花穂の若いものを、佐賀県では、ツバナ、ヅバナ、 ツバネ、ツバメなどと呼び、なめると甘いので、 子供らが食べる。 また、根もなめると甘いので、アマネという 方言がある。 薬用には、晩秋−初冬に根茎を掘り、日干して、 利尿薬、炎症抑え、止血薬として用いる。 |
(100) メ ギ(メ ギ科) 植物名は用途に由来 とげが特徴 |
茎、根を煎じた液で、眼病のとき、目を洗ったので、 眼病に使う木の意味で、目木(メギ)と 呼ばれるようになった。 生け垣など群生の秋の紅葉は一際映えて、人目を引く。 関東以西の本州、九州に分布。山地の湿度の高い 谷部に見られる。庭園や生け垣に植裁される 樹高約2m以下の低木。 葉の集合部の下に鋭いとげがあること。 小枝は紫褐色で角ばること。 茎の外皮を剥ぐと茎は黄色でなめると苦いこと が特徴。 茎の内部が黄色を呈しているのは、 殺菌成分ベルベリンの色。 薬用には、枝、茎を秋に採取、日干し、 煎じた液を健胃薬、洗眼に用いる。 |