薬草百選一覧
 7.ホオノキ
 8.ボタン
 9.アケビ
 10.カキドオシ
 11.カノコソウ
 12.ショウブ
 13.シラン

佐賀の薬草百選2(春 篇)
F
モクレンの仲間では遅れて大花をつける
ホオノキ  モクレン科
大きな花と葉が特徴。見所:北山ダム周辺・5月連休頃


モクレン科の樹木はコブシ、モクレンなどのように葉より花が先に
咲くものが多いが、この木は、葉が出た後の5月の連休前後に開花する。

芳香のある大きな葉は、朴葉(ホオバ)味噌を作る。
材は火に強いので、金庫の内張板に使われるので有名。
【名前】食物を包む葉の木の意味の「包ノ木」とも、大葉カシワが
ホオガシワノキとなり、カシワが略されて、ホオノキとなったとも言われる。

【薬用】
は樹皮を夏の土用頃採取し、乾燥したものを厚朴(コウボク)
といい、健胃、整腸、利尿、鎮痛、痙攣をしずめるのに使う。
漢方では「半夏厚朴湯」「平胃散」ほかに使われている。
佐賀の方言:フーノキ、フデノキ、ホーノキ

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G
中国では百花王、花天香、富貴花
ボ タ ン   ボタン科
婦人薬で有名。 見所:肥前町切木名木「切木(キリゴ)のボタン


中国北部原産。仏教とともに薬用として渡来した。
花が美しいため、観賞用 にも広く栽培されている。

花は容姿が豊か、あでやかな色彩から中国では宮廷の花として植裁した。
中国では、花の王位をウメに譲るまで、唐の時代から1929年まで国花。
寿命の長い花木で、樹令は100年を超すもののある。

【薬用】
根の皮を秋に採取し、乾燥したものを牡丹皮(ボタンピ)
といい、消炎、解熱、 鎮痛、痙攣しずめ、通経等の婦人薬に使う。−−
漢方では大黄牡丹皮湯、八味地 黄丸、六味丸ほかに使われる。

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H
果実は秋の味覚
ア ケ ビ  アケビ科
強靱なつるは籠等の編物細工で知られる

日本、中国、朝鮮半島に分布。佐賀県の山野に普通に見られる。
つる棚や盆栽仕立てにされ、果実は白い果肉は甘く、子供が好んで
生食 し、果皮は油炒めや味噌漬け、若芽は和え物にされる。
強靱なつる はかご等の編み物に使われることでよく知られている。

【名前】
名は「開け実」で、果実が熟すると縦に割れ目ができて、
口を 開けることに由来する。−−−−−−−−−−−−−−
【特徴】アケビの花はちょっと変わっている。全体アズキ色で、皿状に凹む
3枚の花弁様のものがあるが、これは普通花弁の外側にある「がく」で、
アケビには花びらはない。

【薬用】初夏につるを採取し、乾燥したものを木通(もくつう)
といい、消炎、利尿効果があり、腎臓炎・尿道炎・膀胱炎などのむくみ
や鎮痛に用いられる。
佐賀の方言:グルベ、グッペー、ウベ

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I
路傍の可憐な草は薬草
カ キ ド オ シ  シ ソ 科

小児の疳のくすりで知られた


花は春の路傍の可憐な路傍の花として知られる。
また、小児の疳(か ん)のくすりで知られた。
日本、中国、シベリア東部に分布。路傍、原野に普通に見られる。

【特徴】
茎は 四角で、はって伸びる。茎葉に毛が多く、葉は対生、
即ち、茎の同じ位 置から左右に出るのが特徴。
【名前】つるが伸びる垣根をくぐることもあるところから垣根通し
−カキドオシと名付 けられている。

【薬用】草全体を6〜10月に採集し、乾燥したものを
連銭草
(れんせんそう)といい、民間薬として、解熱、利尿、強壮薬
として用いるほか、子供のかんや虚弱性の小児に服用する。
また、糖尿病や腎臓炎 に煎じて服用される。

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J
春風に揺れる かのこまだら の花が売りもの
カノコソウ オミナエシ科
ヒステリーの特効薬として知られる
右は花
日本、中国、サハリンなど東アジアに分布。佐賀県では山地の陽の当た
る草地などに見られる。
【特徴】50〜100cmの高さの柔らかい多年草。5月頃、
白と濃紅色が混じる花が目立つ。
【名前】 カノコソウの名前は花びらの裏の濃紅と表の白が混じり,
鹿子(かのこ)まだらに見えることに由来する。

【薬用】は根を秋〜冬に採集し、乾燥したものを吉草根(きっそうこん)
と呼び、エタノール・水の混合液で抽出したものをイライラなどの鎮静薬に
使う。婦人薬、総合胃腸薬などに配合されることが多い。

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K
端午の節句の菖蒲湯で知られる
ショウブ  サトイモ科
ハナショウブの同類と間違えられる 見所:神野公園


東アジア、インド、北アメリカの湿地に分布。かっては、佐賀平野の
ク リークに多く見られたが、近年では、著しく少なくなっている。

ハナショウブと間違えている人が多い。ショウブ(菖蒲は写真の様に目立た
ない小さな花が多数集まった花をつけるサトイモ科。
ハナショウブ(花菖蒲)は大きな美しい花をつけるアヤメ科。
【名前】ショウブの名は中国名「菖蒲」の音読み。

【話題】
端午の節句に菖蒲湯に入ったり、菖蒲酒を飲む風習は古代中国で生まれた
もの。日本ではショウブの剣状の葉を尚武にかけて尊び、男子の節句 として祝う。
【薬用】根を11〜3月に採取し、乾燥したものを菖蒲恨(ショウブコ ン)
といい、健胃や去痰に用いる。

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L
花壇の花として知られる
シ ラ ン  ラ ン 科
繁殖力強い美しい花の薬草


日本、中国の岩場、崖地や林内に自生する。県内の野生は
極めて希れ。鑑賞としての栽培が広く見られる。

ラン科の植物は栽培が難しいものが多いが、シランは栽培が
容易で、繁殖力も多い。毎年、新しい鱗茎が伸 びるので、
鱗茎を数えることによって、草齢を知ることができる。
【名前】シラン名は花の色から紫蘭の意味。−ー

【薬用】
秋に根(根茎)を採取して乾燥したものを白及(びゃっきゅ)
といい、止血、消炎に用いる。 花は蘭茶にして飲用される。
佐賀の方言:ベニラン

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