薬草百選リスト
81.ウラジロガシ
82.カワラヨモギ
83.キ ハ ダ
84.サネカズラ
85.リガネニンジン
86.ヤマノイモ

薬 草 百 選(晩秋2篇)
(81)
ウラジロガシ(ブナ科)
民間薬から結石溶解剤が製剤化された



葉の裏が白いところから和名「ウラジロガシ」の名が付い
ている。県内の方言にはシラカシの名もある。

佐賀県内の分布をよく知る人は少ない。カシの仲間は、ア
ラカシほか5種類あるが、垂直分布が一番広く、海抜0m
近い波打ち際の海岸から800mの山地まで分布する。多
く見られるのは山の中腹、山の高さにして300〜600mである。

薬用には、葉を煎じて、腎臓結石に服用する。
ウラジロガシは民間薬として古くから尿路結石の治療に
使われていたが、製薬メーカーにより製剤化されカプセル剤
として販売されている



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(82)
カワラヨモギ(キク科)
白柔毛の葉と緑色葉の2形を持つ
黄疸にはカワラヨモギ!として知られる


本州〜台湾、中国、朝鮮半島に分布。
多くは河原にあるので、カワラヨモギの名が付いているが、
佐賀県内では、海岸と岩山に見られ、河原には見ない。

中国名は根元の葉が冬枯れず、春、そこから新しい葉や茎
が伸びるので、古い(陳)苗がもと(因)になって、新しい
ヨモギ(蒿)がでることを意味する「茵陳蒿インチンコ
ウ」という。(「陳」には草冠が付くのですが、活字があ
りませんのであしからず)                .

薬用には、花の付いた枝葉を乾燥して消炎性利尿、黄疸
に煎じて用いる。成分についての動物実験では、胆汁分
泌促進作用、肝臓障害改善作用などが知られている。
漢方でもよく用いられる。


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(83)
キハダ(ミカン科)
強い苦味と 鮮黄色の内樹皮が特徴


アムール、中国北部、朝鮮、日本と分布は広いが、佐賀県内で
は著しく偏って分布する。県西南部の多良山地だけに分布する。

殺菌力のあるベルベリンを主成分とすることでも知られる。
薬用には、樹皮を用いる。樹皮が剥げやすい夏の土用の頃
に採取して乾燥して、健胃整、消炎、殺菌に服用する。
民間では、打撲傷、ねんざに粉末を酢でねって貼る。

晩秋から初冬に黒い実が落ち播種するとよく発芽する。
キハダを有用木として街路樹に植えている町もある。



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(84)
サネカズラ(マツブサ科)
赤い小粒の実の集まりが美しい
かって、つるの粘液で美男になった


サネカズラ(実葛)あるいはビナンカズラ(美男葛)とい
う。サネカズラは赤く熟する果実が美しく目立つので、
美しい実をつけるつるの木という意味。
ビナンカズラは古くから整髪料とされ、水で滲出して
チョンマゲを
整えるのに使ったので、美男葛と呼ばれた。

関東以西の日本、中国、台湾に分布。佐賀県内では
低山や丘陵地に普通に見られる。常緑性のつる植物。
薬用は、果実を滋養、強壮、鎮咳薬に煎じて用いる。



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(85)
ツリガネニンジン(キキョウ科)
山でうまいは!


秋の草原につり鐘の青い花が似合う。佐賀県内によく見られる
ツリガネニンジンは詳しくは、九州、台湾、中国に分布する
ツリガネニンジンの亜種サイヨウシャジンで、ツリガネニンジン
同様に薬用にする。

薬用には、根を咳止め、痰の除去、強壮に煎じて用いる。
漢方でも用いる。
「山でうまいはオケラとトトキ(ツリガネニンジン)。嫁に食わ
すはおしゅうござる」とうたわれたように、山菜とされた。

江戸時代には、オタネニンジンの代用にされたこともある。


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(86)
ヤマノイモ(ヤマノイモ科)
西鶴の文学にも強精・強壮薬で登場 

秋、冬の山の幸。里芋に対し、山にある芋の意味。

本州〜台湾、中国、朝鮮の山地に普通に見られる。

薬用には、根茎を秋から冬に採取して、滋養強壮、
下痢止めに用いる。
根茎には、ジアスターゼが含まれ、よく見る光景、
飯にトロロをかけて食べるのは良法である。

根茎は美味しいが、パゴ、カゴの方言で呼ばれるムカゴ
も飯に炊き込み、栗飯以上に美味しくいただける。


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