薬草百選一覧
 32.ゲンノショウコ
 33.センブリ
 34.アカネ
 35.カワラケツメイ
 36.オケラ
 37.ヒキオコシ
 38.ハッカ
 39.リンドウ
 40.ワレモコウ


薬 草 百 選5(秋篇)
(32)
ゲンノショウコ(フウロソウ科)
タチマチグサなど方言名は百を超す



下痢止めの特効薬といわれた。ゲンノショウコの名は
「現の証拠」の意味で、下痢のとき、煎じて飲むと現
の証拠に効果が現れることに由来する。

ゲンノショウコには全国に120以上の方言名がある。
方言名には、見逃している特徴を的確に現しているも
のがあ り、標準和名以上に教えられるところがある。

ローソク ソウは実の形から    
ヒメズルは少し這うことから    
ミコ シグサははじけた実の形から
ネコアシグサは葉の形から    

改めて観察して見ませんか。

千島南部〜日本〜台湾、朝鮮半島の日当たりの
よい所に生える。

薬用には、成分含量の高い夏の土用の頃地上部を
採取 し、乾燥して、整腸、下痢止めに用いる。



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(33)
センブリ(リンドウ科)
苦いことの代名詞


ドクダミ、ゲンノショウコと共によく知られた日本の三大薬草。
名前は千回煎じ(振り出す)てもなお苦い意味の「千振り」に由来する。
その苦味は、2万倍に薄めてもなお苦いほど。

10月頃、白い花びらの中央に紫色のタテすじが入りパチクリと
した可愛い花を開く。
この薬草は、日本、朝鮮半島、中国の草原などの日当たりの
よい所に見られる。日本では、よく使われる薬草で あるが、
日本にように使われるものではない。

薬用には、秋に全草を取り、乾燥して粉末、または煎じて、
食欲増進、消化促進に服用する。

また、エチルアルコールで成分を浸出した液は頭につけると
皮膚刺激、血流増加作用により毛根へ養分供給を増 し、
養毛、発毛促進する。

栽培は難しいとされていたが、近年は、栽培されるよう になった。


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(34)
アカネ(アカネ科)
草木染め茜で知られる


茜(あかね)色の野木染めとして古くから知られ、
万葉集にも詠われている。

名前は根の色が赤いことによる。
漢字の「茜」は西の空を染める草、 または
染色利用が西から渡来した草の意味。

日本、朝鮮半島、中国、ヒマラヤの山野に分布する。
県 内では、主に山麓地域などの日当たりよい山野にやや普通に見られる。

薬用は根を10〜11月に採集して日干し、止血、月経不順 に用いる。


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(35)
カワラケツメイ(マメ科)
弘法大師の弘法茶


名前は河原に生えるケツメイ(決明)の意味。
決明はエ ビスグサの薬用名で、
目を明らかする意味。

北海道を除く日本の各地の日当たりのよい原野、河原や山地の
路傍にしばしば群生する。

薬用には全体を8〜9月に取り、乾燥して、強壮、利尿 に服用する。

民間では、茎葉を焙じたものを浜茶、豆茶、ネム茶、弘法茶などと
呼び、茶剤として、便秘、消化不良、むくみ などに使う。



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(36)
オケラ(キク科)
邪気払い・土蔵のカビ止め・
屠蘇配合で知られる


正月に1年中の邪気を払い、病を避け、長寿延命を託して飲む
屠蘇(とそ)酒にサンショウ、ニッケイ、ハマボ ウフウ、キキョウ
などに,主役として配合される。

薬用、食用、邪気払いとして古くから知られ、
また、土蔵でオケラの燻しかび取り、かび止め、
さらには京都祇園の「お けら祭り」、元旦
の火種を取る京都八坂神社の「おけら火」でも知られる。

薬用には根を晩秋から初冬に採取し、健胃薬、利尿薬に 用いる。
根の精油には防かび作用のあることが知られて いる。


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(37)
ヒキオコシ
(シソ科)
弘法大師伝授の薬草


弘法大師が行脚の折り、山道で病に苦しむ旅人にで会われた。
大師はこの草の汁を飲ませたところ
旅人は直ぐに病は癒えた
という故事がある。

この故事から、病人を引き起こす意味の「ヒキオコシ」、
また、命を長らえる意味で
生薬名「延命草」の名がある。

日本、朝鮮半島の主に谷間の日当たりのよい所に生える
多年草で、葉は大変苦い特徴がある。

薬用には、地上部を夏の土用の頃採取して陰干し、粉にして
健胃薬に使用する。


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(38)
ハッカ(シソ科)
ハーブで知られる


スカット爽やかな清涼感が好まれ、香草の代表的存在。

シベリア、日本、朝鮮半島、中国の池の縁など湿った所 に野生する。

ハッカの名前は、中国名の「薄荷」の音読み

かって、佐賀県内ではサフランと共に薬草生産高
1、 2を争ったものである。それは
佐賀県の主要生産医薬品である貼り薬
ハッカの成分であるハッカ油やメントールが配合成分として
使用されるため、栽培が行われたものです。
なお、メントールは今日では化学合成されている。

薬用には、葉を9〜10月に採取して健胃薬、解熱薬、清 涼剤などに
一般家庭薬、漢方薬などに使われる。

歯磨き、菓子、ハーブティーをはじめ利用は多彩。

別名にメザマシグサ、メグサなどがある。
葉を目の縁に葉を貼って目を刺激したことによるが、
直接目に触れないよ うに注意する必要がある。


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(39)
リンドウ
(リンドウ科)

秋の草原の花


紫紅色の花は
ワレモコウと共に秋の草原を飾 る花として知られる。

熊本、長野県の県花に選ばれてい る。
近年では、切り花用の栽培も盛に行われている。

花の美しさとは裏腹には大変苦い。これが名の由来、
薬用効果と関わりが強い。

名前は中国名「竜胆(りゅうたん)」に基づくもので、竜 はその
最上級を意味し、胆は根の苦みを胆汁の苦味に例 えたもの。

薬用の始まりには、次の伝説がある。
「昔、小角は日光の奥山で兎がリンドウの根をくわえて
走り去ったのを見て、その根を飲むと優れた効果が
あっ たので、神のお告げに違いないと村人に伝えて
以来、日 光では霊草とされるようになった。」

薬用は、根を初冬の頃採取して健胃薬として使われる。


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(40)
ワレモコウ(バラ科)
詩歌にも詠われる秋の草原の花


日本をはじめ中国、シベリア、ヨーロッパなどの秋の草原を飾る
花として知られる。
佐賀県では佐賀平野の北麓 に分布が限られているのが惜しまれる。

名前の由来には、「吾木香」で、われ(日本の)木香を意味すると
いわれる。木香はインド原産の薬用香木であ るが、ワレモコウには香りが
ないので、吾亦紅と書かれたともいわれるが、詳細は不明。

古くは漢名の地楡(ちゆ)が使われ、
ワレモコウ
と呼ばれるようになったのは
江戸中期以降
とされる。

薬用には、根晩秋に採取し、日干して、止血、下痢止め、 解毒に煎じて
使われ、火傷、外傷、湿疹には煎液で患部 を洗う。



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