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くすり百話 (第22回)
第33話 薬剤師が作った日本最初の水銀体温計
第33話 
薬剤師が作った日本最初の水銀体温計
体温で上昇した水銀をそのままに止めるのに苦労
わが国初の水銀体温計
わが国で最初に水銀体温計が作られたのは、明治16年。
作ったのは、山口県防府市の薬剤師 柏木幸助。

柏木は、明治13年頃から大阪のガラス職人惣兵衛の協力を得て、
苦心の末、ガラスを溶融して毛細管を作りことには成功した。

しかし、水銀切れを防ぐ方法が分からないため、実用化に至らず、
長い間苦心に苦心を重ねた。

明治16年になってようやく実用価値のある体温計が完成し、
山口県三田尻に柏木験温器製作所を設立して生産にあたった。

この年には、ドイツで、エナのショットガラス会社が、寒暖計標準ガラス
を完成しているが、時を同じくして、しかも科学も工業も幼稚だった
わが国で、このような技術開発が行われたことは、
特記すべきことである。
(朝倉・安藤・樋口・丸山共著,事物起源辞典) 

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